暗号資産の振替納税と予定納税|納付方法と期限

結論

暗号資産の利益(雑所得)は予定納税の計算に含まれない。振替納税を利用すれば納付期限を約1か月延ばせる。

  • 理由① 予定納税基準額は前年の「申告納税額」のうち事業所得・不動産所得等から計算される。雑所得は算入対象外のため、暗号資産で大きな利益が出た翌年でも予定納税額は増えない。
  • 理由② 振替納税を利用すると、確定申告の法定納期限(3月15日)から約1か月後の口座引落しとなる。暗号資産の利益に対する納税額が大きい場合、資金準備の猶予として有効な手段となる。

所得税法第104条 / タックスアンサー No.2040

この記事でわかること

  • 振替納税の仕組み・手続き方法(e-Tax・書面)
  • 暗号資産の所得と予定納税の関係(雑所得は除外される理由)
  • 令和7年分の所得税の納期限と振替日
  • 所得税の納付方法一覧と各手段のメリット・注意点
目次

振替納税の仕組みと手続き

【結論】振替納税は「預貯金口座振替依頼書」を税務署に一度提出すれば、翌年以降も自動で口座引落しが継続される。令和7年分の所得税の法定納期限は令和8年3月16日、振替日は令和8年4月23日である(国税庁「主な国税の納期限及び振替日」)。

振替納税は、確定申告で確定した所得税額を、指定した金融機関口座から自動で引き落として納付する方法である。金融機関の窓口に出向く必要がなく、振替日に口座残高があれば手続きは完了する。

振替納税の対象

振替納税が利用できるのは以下の場合に限られる。

  • 所得税及び復興特別所得税の確定申告分・予定納税分
  • 消費税及び地方消費税の確定申告分・中間申告分(個人事業者)

期限後申告分や修正申告分には利用できない。暗号資産取引の確定申告で利用するには、期限内に申告書を提出する必要がある。

手続き方法

振替依頼書の提出方法は2通りある。

e-Tax(オンライン)での提出:e-Taxにログインし「申請・納税手続を行う」→「口座振替依頼書」を選択→画面に従い必要事項を入力→「提出」で完了する。スマートフォンからも可能である。

書面での提出:国税庁ウェブサイトから「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」をダウンロードし、必要事項を記入のうえ、所轄の税務署または記入した金融機関に提出する。金融機関届出印が必要である。

提出期限は納期限まで(令和7年分の所得税であれば令和8年3月16日まで)である。一度提出すれば翌年以降の再提出は不要である。

令和7年分の納期限と振替日

税目法定納期限振替日
所得税及び復興特別所得税(確定申告分)令和8年3月16日(月)令和8年4月23日(木)
消費税及び地方消費税(個人事業者・確定申告分)令和8年3月31日(火)令和8年4月下旬

振替納税を利用すると、所得税の場合は法定納期限から約1か月後に口座から引き落とされる。この間に納税資金を準備できるのが最大のメリットである。

注意点

  • 本人名義口座のみ利用可能:配偶者や家族名義の口座は利用できない
  • 残高不足に注意:振替日に口座残高が不足すると引落しができず、法定納期限の翌日から延滞税が発生する
  • 転居時の手続き:令和5年1月1日以後は、確定申告書の振替継続希望欄に「○」を記載すれば、所轄税務署が変更になっても振替納税を継続できる

関係法令:国税通則法第34条の3

予定納税と暗号資産の関係

【結論】暗号資産の所得が雑所得または譲渡所得に区分される場合、予定納税基準額の計算からは除外される。そのため暗号資産取引で多額の利益が出ても、翌年の予定納税額が増加することはない(所得税法第104条、タックスアンサーNo.2040)。ただし、事業所得に区分される場合は予定納税基準額に算入される。

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予定納税の基本的な仕組み

予定納税とは、その年の5月15日現在で確定している前年分の申告納税額(予定納税基準額)が15万円以上の場合に、所得税の一部を前払いする制度である。

項目内容
発生条件予定納税基準額が15万円以上
第1期7月1日〜7月31日(基準額の3分の1)
第2期11月1日〜11月30日(基準額の3分の1)
通知6月15日までに税務署長から書面またはe-Taxで通知

予定納税額は確定申告で精算される。年間の所得税額から予定納税額を差し引いた金額が、確定申告時の納付額(または還付額)となる。

暗号資産の所得が雑所得の場合

予定納税基準額を計算する際、以下の所得は除外される(所得税法第104条、タックスアンサーNo.2040)。

  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得
  • 山林所得
  • 退職所得等の分離課税の所得

暗号資産の取引による所得は原則として雑所得に区分される(国税庁FAQ 2-2)。したがって、前年に暗号資産取引で大きな利益が出ても、その所得は予定納税基準額の計算に算入されない。

たとえば、給与所得のみの会社員が令和7年に暗号資産で500万円の利益を得て確定申告した場合でも、暗号資産の所得は雑所得であるため、令和8年の予定納税額の計算には影響しない。

暗号資産の所得が事業所得の場合

一方、暗号資産取引を事業として行っている場合(収入金額300万円超かつ帳簿保存要件を満たす場合)は事業所得に区分される(国税庁FAQ 2-2)。事業所得は予定納税基準額から除外されないため、翌年の予定納税額が増加する可能性がある。

予定納税の減額申請

廃業や休業、所得が前年より大幅に減少すると見込まれる場合は、予定納税額の減額申請が可能である。第1期分の減額申請の期限はその年の7月15日、第2期分はその年の11月15日である。

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所得税の納付方法一覧

【結論】所得税の納付方法は7種類あり、振替納税のほかにスマホアプリ納付やクレジットカード納付なども利用できる。暗号資産の確定申告で高額の納税が発生する場合は、金額上限のない振替納税・ダイレクト納付・金融機関窓口のいずれかを選ぶ必要がある。

納付方法手数料金額上限事前手続き
振替納税(口座引落し)無料なし振替依頼書の提出
ダイレクト納付(e-Tax)無料なし届出書の提出
インターネットバンキング無料※なしe-Tax利用開始手続き
クレジットカード納付決済手数料ありなし不要
スマホアプリ納付無料30万円以下不要
コンビニ納付(QRコード)無料30万円以下不要
金融機関・税務署窓口無料なし不要

※金融機関のインターネットバンキング利用料は別途発生する場合がある。

暗号資産取引で数百万円規模の利益が出た場合、スマホアプリ納付やコンビニ納付は30万円の上限があるため利用できない。振替納税やダイレクト納付など、金額制限のない方法を選ぶ必要がある。

クレジットカード納付は金額上限がないものの、納付税額に応じた決済手数料(1万円ごとに約83円)が発生する。ポイント還元率との比較で判断するとよい。

よくある質問(FAQ)

Q1. 暗号資産で利益が出た翌年、予定納税の通知が届きますか?

届かない。暗号資産の所得は原則として雑所得に区分され、雑所得は予定納税基準額の計算から除外される(所得税法第104条、タックスアンサーNo.2040)。ただし事業所得として申告した場合は予定納税の対象となりうる。

Q2. 振替納税の口座残高が不足した場合どうなりますか?

延滞税が発生する。振替日に引落しができなかった場合、法定納期限の翌日から実際の納付日まで延滞税が課される。速やかにダイレクト納付やインターネットバンキング等の別の方法で納付する必要がある。

Q3. 確定申告の期限に遅れた場合でも振替納税は使えますか?

使えない。振替納税は期限内に提出された確定申告分・予定納税分のみが対象であり、期限後申告や修正申告には利用できない(国税庁「振替納税のお勧め」タックスアンサーNo.9201)。

Q4. 暗号資産の利益が大きく、一括で納税できない場合はどうすればいいですか?

延納制度を利用できる。確定申告書の提出時に納付すべき税額の2分の1以上を納期限までに納付すれば、残額を令和8年6月1日まで延納できる。ただし延納期間中は利子税(年1.3%程度)が発生する。

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暗号資産の確定申告の全体像・最新情報は「暗号資産の確定申告ガイド【2027年版】」をご覧ください。

関係法令

  • 所得税法第104条(予定納税額の納付)
  • 国税通則法第34条の3(振替納税)
  • 所得税法第36条第1項
  • 国税庁タックスアンサーNo.2040(予定納税)
  • 国税庁タックスアンサーNo.9201(振替納税のお勧め)
  • 国税庁FAQ 2-2(所得区分)
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