信託型トークン(LOCKON等)の税金|インデックスDeFiの課税

結論

信託型トークンの税務処理には4パターン(A〜D)が考えられるが、資産増加時はいずれも最終損益が一致する。差異が生じるのは資産減少時のパターンDのみ。

  • 理由① 預入時に「暗号資産→インデックストークン」の交換が発生するか否か、償還時に損益を認識するか否かの組み合わせで4パターンが生じる。現時点で国税庁の公式見解がなく、どのパターンを採用すべきか確定していない。
  • 理由② 資産が減少して戻ってきた場合、パターンDでは預入時に譲渡損益を認識しないため、償還時の損失額が他パターンと異なる。運用損が出た際の税務インパクトがパターン選択によって変わる点が実務上最大の論点。
  • 条件 信託型トークン(インデックストークン)は通常、市場での取引価格が存在しないため、法人の期末時価評価の対象外となる。保有中のリバランスによる内部的な構成変更は課税イベントとして認識しない。

所得税法第36条第1項

この記事でわかること

  • インデックスDeFi(LOCKON等)の仕組みと課税の基本
  • 信託開始時の4つの処理パターン(A〜D)の違い
  • 信託財産を回収した場合の損益計算方法(増加・減少の両ケース)
  • パターンDで損益額に差異が生じる理由
  • 期末時価評価における信託型トークンの取扱い
目次

インデックスDeFiの仕組みと課税関係

【結論】インデックスDeFiに暗号資産を預け入れてインデックストークンを取得した時点では、処理パターンにより課税の有無が異なる。いずれの場合も、信託財産を回収した時点で預入額との差額が課税対象となる(所得税法第36条第1項)。

インデックスDeFiとは

LOCKON Finance等のインデックスDeFiは、既存金融のインデックスファンドに相当するDeFiサービスである。主な特徴は以下のとおりである。

項目 内容
仕組み Set Protocol等のトークンバスケット規格を基盤とし、複数のトークンを1つのインデックストークン(ERC20)として組成
リバランス オンチェーンデータの解析に基づき、バスケット内のトークン構成比率を高頻度で自動調整
トークン例 Lockon Balance Index(LBI)、Lockon Active Index(LAI)、Lockon Passive Index(LPI)等。リスク許容度に応じた複数種類を提供
管理方式 ノンカストディ型(インデックストークンはユーザーのウォレット内に保管)
リスク ポートフォリオ内トークンの価格変動により、預入資産が増加するケースと減少するケースの両方がある

課税タイミング

ステップ 内容 課税の有無
①信託開始 暗号資産(例:USDC)をプロトコルに預入 → インデックストークン(LBI等)を受け取る 処理パターンによる(下記参照)
②運用期間 バスケット内トークンの自動リバランスにより運用。利益・損失の両方が発生しうる
③期末 インデックストークンの時価が取得できない場合、期末時価評価の対象としない 対象外
④信託財産回収 インデックストークンを返却し、運用後の暗号資産を受け取る 課税あり

信託型トークンの税務処理は、流動性提供(LPトークン)の処理を流用する形で行う。ただし、流動性提供と異なり「損失が出るケース」が想定されるため、損失時の処理に特別な検討が必要である。

関係法令:所得税法第36条第1項

信託開始時の4つの処理パターン

【結論】信託開始時の税務処理は4つのパターンに分かれる。いずれのパターンでも、インデックストークン(LBI等)は通常時価が取得できないため、借入側の帳簿価額は0円で処理する(所得税法第36条第1項)。

パターン 処理方法 信託開始時の損益
A 売買処理 預入暗号資産の売却損益が発生
B 貸付(時価)+借入(時価) 貸付時の時価と取得価額の差額が発生
C 貸付(原価)+借入(時価) 信託開始時の損益は発生しない
D 預入+借入(時価) 信託開始時の損益は発生しない

パターンB・C・Dにおける「借入」の処理は、インデックストークン(LBI等)の時価がCoinGecko等で取得できないため0円で行う。

パターンAは最もシンプルで、通常の暗号資産の売買取引と同じ処理となる。パターンDは預入(保管場所の変更)として処理するため、預入時点での損益は発生しない。

信託財産の回収時の損益計算

【結論】信託財産を回収した場合、資産が増加して戻ってきたケースではパターンA〜Dすべてで最終損益が一致する。一方、資産が減少して戻ってきたケースではパターンDのみ他のパターンと損益額に差異が生じる(所得税法第36条第1項、第37条第1項)。

信託財産の回収は複数回に分けて行われることもあるため、以下では2回に分けた事例で解説する。

資産が増加したケース(利益)

前提条件:

  • 信託開始:1,000USDC(取得原価1USDC = 100円、合計10万円)を預入
  • 1回目回収:500USDC(回収時時価1USDC = 110円)
  • 2回目回収:600USDC(回収時時価1USDC = 90円)→ 預入時より100USDC増加

パターンA〜C: 通常の売買・貸借の返済処理と同様に損益を計算する。

パターンD(預入処理): 増加した資産(100USDC)はステーキング報酬等と同様に処理する。増加数量に回収時の時価を乗じた金額を利益計上する。

全パターン共通の最終損益:0.9万円(利益)

項目 計算
1回目回収 500USDC × 110円 = 5.5万円
2回目回収 600USDC × 90円 = 5.4万円
合計回収額 10.9万円
信託した元本 1,000USDC × 100円 = 10万円
最終損益 10.9万円 − 10万円 = 0.9万円

資産が減少したケース(損失)

前提条件:

  • 信託開始:1,000USDC(取得原価1USDC = 100円、合計10万円)を預入
  • 1回目回収:500USDC(回収時時価1USDC = 110円)
  • 2回目回収:400USDC(回収時時価1USDC = 90円)→ 預入時より100USDC減少

パターンA〜Cの損失額:△0.9万円

項目 計算
1回目回収 500USDC × 110円 = 5.5万円
2回目回収 400USDC × 90円 = 3.6万円
合計回収額 9.1万円
信託した元本 1,000USDC × 100円 = 10万円
最終損益 9.1万円 − 10万円 = △0.9万円

パターンDの損失額:△1万円

パターンDでは、USDCの時価変動分(100円→90円)が反映されない。減少した100USDCに当初の取得原価100円を乗じた金額が損失として計上されるため、パターンA〜Cと0.1万円の差異が生じる。

パターン 損失額 計算の考え方
A〜C △0.9万円 回収時の時価(90円)ベースで損失を計算
D △1万円 当初の取得原価(100円)ベースで損失を計算

この差異は、パターンDが預入として処理するため、預入暗号資産の時価変動が損益計算に反映されないことに起因する。

期末時価評価と実務上の注意点

【結論】インデックストークンは通常時価が取得できないため、期末時価評価の対象としない。パターン選択は資産減少時の損益額に影響するため、リスク特性を踏まえて慎重に判断する必要がある(法人税法第61条第2項、法人税法施行令第118条の7)。

損益計算や申告を専門家に依頼したい場合は「暗号資産・DeFiの損益計算を依頼する(Cryptorch)」をご覧ください。

期末時価評価

インデックストークン(LBI等)はCoinGecko等の価格情報サイトで時価を取得できないのが通常である。時価が取得できない場合は、法人であっても期末時価評価を行わない。

処理パターン選択時の留意点

  1. 資産増加ケースでは差異なし: いずれのパターンでも最終損益は一致するため、パターン選択による有利不利はない
  2. 資産減少ケースではパターンDに注意: パターンDのみ損益額が異なる。預入暗号資産の時価が下落している局面ではパターンDの方が損失額が大きくなる
  3. 一貫した適用: 一度選択したパターンは年度を通じて一貫して適用する

インデックスDeFi特有のリスク

インデックスDeFiは分散投資の効果がある一方、バスケット内トークンの急落局面ではリバランスが間に合わず損失が発生することがある。税務上、損失が発生した場合でも雑所得内での通算は可能だが、他の所得区分(給与所得等)との損益通算はできない(所得税法第69条第1項)。

また、LOCKONのようにネイティブトークン($LOCK)の配布が予定されているサービスでは、トークン受取時に受取時の時価で所得が発生する。インデックストークンの保有によるキャピタルゲインとは別に、配布トークンの課税関係にも注意が必要である。

損益計算や申告を専門家に依頼したい場合は「暗号資産・DeFiの損益計算を依頼する(Cryptorch)」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. インデックストークンを購入・保有しているだけで税金はかかりますか?

パターンによる。パターンA(売買処理)では預入暗号資産の売却損益が発生する。パターンC・D(貸付原価・預入処理)では信託開始時の損益は発生しない。いずれの場合も、インデックストークンの借入側は時価が取得できないため0円で処理する(所得税法第36条第1項)。

Q2. インデックスDeFiで損失が出た場合、他の所得と相殺できますか?

できない。個人の場合、インデックスDeFiの損失は雑所得に区分されるため、他の暗号資産取引の利益(雑所得内)とは通算可能だが、給与所得等の他の所得区分との損益通算は認められない(所得税法第69条第1項)。

Q3. インデックストークンの期末時価評価はどうなりますか?

時価が取得できない場合は対象外である。インデックストークン(LBI等)は通常CoinGecko等で時価情報が公表されておらず、期末時価評価の対象としない(法人税法第61条第2項、法人税法施行令第118条の7)。

Q4. パターンA〜Dのどれを選ぶべきですか?

資産増加ケースでは差異がないため、いずれを選択しても最終損益は同じである。ただし、資産減少ケースではパターンDのみ損益額が異なる(時価変動分が未反映)。実務上はパターンA(売買処理)が最もシンプルで、処理の透明性が高い。

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関係法令

  • 所得税法第36条第1項
  • 所得税法第37条第1項
  • 所得税法第69条第1項
  • 法人税法第61条第2項
  • 法人税法施行令第118条の7
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